『カササギ殺人事件』読書記録~フーダニットミステリーの最高峰!

アイキャッチ画像『カササギ殺人事件』探偵の少女
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このページは、アンソニー・ホロヴィッツ作の『カササギ殺人事件』という小説についての読書記録です。個人的な感想を、ネタバレありで書いていますのでご注意ください。

2018年に日本で出版され、『このミステリーがすごい』などのミステリー小説ランキングを制覇した話題作。
翌年以降も出す作品が次々評価され、『このミス』4連覇を成し遂げるからとんでもない。(以降も連続2位。さて2024年はどうなるか)

アガサ・クリスティへのオマージュ、古き良きイギリスミステリーのエッセンスが詰め込まれた名作ミステリーの世界に、どっぷり浸ることができました。

一度読まれた方も、ぜひAudibleを利用して、また違った感覚でこの作品を楽しんでみてください。

感想の段落にはネタバレも含んでいます。
結末は避けていますが、かなり踏み込んだ内容もありますので、未読の方はご注意ください。

目次

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あらすじ

編集者スーザンが読んでいた、名探偵アティカス・ピュントが主人公の「アティカス・ピュントシリーズ」最新作である『カササギ殺人事件』の原稿は、結末部分が欠落していた。直後、著者であるアラン・コンウェイが亡くなり、その死は自殺とみられていた。スーザンは原稿の結末部分を探すうちに、その死に疑いを抱くようになる。

作中作である『カササギ殺人事件』は、イギリスの片田舎の屋敷の使用人が変死体で見つかったことから始まる物語。一見事故のようにも見えるこの死は、次に起こる、屋敷の主人が惨殺される事件によって様相が変わる。重い病を抱える名探偵アティカス・ピュントは、自身の最後の仕事と覚悟して、この事件に隠された真実を解き明かそうとする。

果たして、アランの死の真相は。
そして、『カササギ殺人事件』の結末は。

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作者と作品について

『カササギ殺人事件』(原題: “Magpie Murders”)は、アンソニー・ホロヴィッツが2016年に発表した小説です。

彼はヤングアダルト向けの、アレックス・ライダーシリーズで世界的な成功を収め、テレビドラマの脚本家としても高い評価を得ていました。公認によるシャーロック・ホームズやジェームズ・ボンドの新作も書いており、古典的なキャラクターを現代に甦らせることにも定評がありました。

『カササギ殺人事件』は、ホロヴィッツが大人向けの本格ミステリーに挑戦した作品です。

この作品は、誰も読んだことのない作品を目指し、15年の構想を経て書かれた作品と言われていて、複雑な構造をしています。小説内で、登場人物が別の小説を読む「作中作」の形を用いており、古典的な英国の事件と現代の事件が複雑に絡み合っているのが特徴です。

『カササギ殺人事件』は世界的に高い評価を受けホロヴィッツの大人向けミステリー作家としての地位も確立しました。以降の作品も話題を集め、現代を代表する人気推理小説家となっています。

感想(ネタバレあり)

作中作を扱った作品はいくつか読んできましたが、これほどまでに作中作に力が込められた作品は読んだことが無かった。まずはその点に驚く。

イギリスの田舎町の空気感、そこに住む平凡でありながら個性的で、(推理小説的な意味で)怪しげな人々。名士の屋敷で働く使用人の転落死から始まり、屋敷の主人の惨殺事件へと続く。その事件に、名探偵アティカス・ピュントが立ち向かう。
作中作だけをそのまま出版しても名作として評価されたかもしれない。

冒頭には、作中作『カササギ殺人事件』を絶賛する文章がいくつも書かれていて、あまりにハードルを上げ過ぎているから、どうせ全部は書かれていないのだろうと思っていたけれど、それは間違いだった。

上巻は、ほぼすべてが作中作。いよいよ解決編、というところで下巻へ。読んでいるうちに作中作であったことを忘れていた。あんなにしっかりと作中作であることを印象付けられていたのに。

すぐさま読み始めた下巻で現実に引き戻され、結末が失われていたことを知って、主人公のスーザンと同じように途方に暮れる。

結末を予想するスーザンが事件の概要、容疑者を整理してくれる。とても親切。それでも犯人の予測は立たない。ミステリーの謎を自分で解き明かすのは不得意なので。

スーザンになって最後まで読み切り、そして、真相を解き明かしたスーザンにはなれていなかったことを知る。

こんなにもフェアに書かれていたのに全く真相にたどり着けなかった。悔しさもあり、嬉しさもあった。すべてが明らかになってから考えれば、ヒントはいたるところにち散りばめられていた。アンフェアなら怒ることも出来たのに、ただただ翻弄され、唖然とするだけだった。

結末を知った上でもう一度読みたくなる。
この先何度も読むつもりだけれど、最初の読み返しはすぐにやってきそう。

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お勧め関連作品

ヨルガオ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ

『カササギ殺人事件』の続編。
8年前の殺人事件、娘の失踪、それを繋ぐアティカス・ピュントシリーズ『愚行の代償』に秘められた謎。

かつき

『名探偵アティカス・ピュントシリーズ』がまた読めるだけでうれしい。

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アガサ・クリスティーの代表作のひとつ。
ミステリー界に新風を巻き起こした名作。

かつき

情報をなるべく入れずに読んでほしい。
叶うことなら、すべて忘れてもう一度読みたい傑作です。

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最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

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