オーディオブックでホラー小説を聞いたことがありますか?
もしまだでしたら、一度体験することをお勧めします。ホラー小説とオーディオブックの相性はとても良いです。
文字を目で追う読書とは違い、音声が加わることで恐怖体験が格段に増幅されます。ナレーターの声音や話すペース、沈黙や息遣いが、文字だけでは感じられない細やかな恐怖を生み出します。文字を能動的に読み進めるのではなく、受動的に淡々と進んでいくため、怖くても逃れようがなく、より深く引きずり込まれるのです。
「夜中にイヤホンを外せなくなった」「思わず振り返ってしまった」「電気を消せなくなった」——そんな体験談が話題になるほど、オーディオブックのホラーは独特の恐ろしさがあります。
怖さ別の作品の選び方についても解説しますので、作品選びの参考にしてください。

🎧 Audibleで広がる読書体験 🎧
- 「ながら聴き」で時間を有効活用
家事や通勤、散歩中など、これまで「本が読めない」と思っていた時間を、Audibleがあれば有意義な読書時間に変えられます。 - プロのナレーターが織りなす、臨場感あふれる世界
まるで映画やドラマを見ているかのような、プロのナレーターによる迫真の演技と演出で、物語の世界に没頭できます。登場人物の感情や情景が、より鮮明に心に響くでしょう。 - オフライン再生で、いつでもどこでも読書を楽しめる
事前にダウンロードしておけば、電波の届かない場所でも、好きな時に読書を再開できます。
移動中や飛行機の中でも、読書の楽しみを途切れさせません。 - 再生速度の調整で、自分のペースで楽しめる
再生速度を調整できるので、効率的にインプットしたり、ゆっくり聴いて内容をじっくり理解したりと、自分のペースに合わせて調整できます。
呪いと超常現象の恐怖
『リング』鈴木光司
「静かにビデオが始まった……」
あらすじ 同日、同時刻に苦悶の表情を残して死亡した四人の若者。雑誌記者の浅川は姪の不可解な死に疑問を抱き、調査を開始する。やがて彼は一本のビデオテープに辿り着く。そのテープを見た者は、一週間後に必ず死ぬという。浅川は友人の高山と共に呪いの正体を探るため、貞子という少女の悲劇的な過去へと迫っていく。時間は刻一刻と過ぎ、死への恐怖が二人を襲う。
作品の見どころ 映画で有名になった作品ですが、原作は幽霊が出てこない論理的なミステリーホラーです。原作者の鈴木光司自身が「原作小説には幽霊も出てこなければ残虐なシーンもない。徹底的に論理的な話なのに怖いと感じるのは、読者の想像力があるから」と分析する通り、想像力を刺激する恐怖が特徴です。映画とは設定が大きく異なり、より深い謎解きと科学的なアプローチが楽しめる、ホラーとミステリーの完璧な融合作品です。
読者の声 「映画より数百倍面白い」「映画と違う点が多くて驚いた、思ったよりもサスペンス部分が多い」「ホラーというよりミステリー。それも最高峰の」
『仄暗い水の底から』鈴木光司
「その水は、決して澄むことはない」
あらすじ 離婚調停中の母・淑美は娘と古いマンションに引っ越すが、天井の染みや上階からの水音に悩まされる。屋上で発見した赤い幼児用バッグをきっかけに、2年前に行方不明になった少女の存在を知る。やがて母子の周りで不可解な現象が起こり始め、水にまつわる恐怖が日常を侵食していく。
作品の見どころ 「リング」の鈴木光司による水をテーマとした短編集。単なるホラーを超えて、母と娘の愛情を軸にしながら現代社会の孤独感を巧みに織り込んだ作品です。 水という身近な存在が恐怖の源泉となる湿度の高い演出と、「母子にまとわりつく失踪した少女のぬめぬめとした気配」が印象的で、じわじわと迫ってくる恐怖が特徴です。
読者の声 「じわじわくる怖さが秀逸」「短編だけに密度も高い」「水の音が聞こえるたびに思い出す」「親子の愛情と恐怖のバランスが絶妙」
『Another』綾辻行人
「気をつけて。もう、始まってるかもしれない」
あらすじ 肺の病気療養のため夜見山北中学校3年3組に転校してきた榊原恒一は、クラスの異様な雰囲気に違和感を覚える。左目に眼帯をした謎の美少女・見崎鳴に惹かれ接触を試みるが、クラスメイトからは「いないものの相手をするな」と警告される。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが階段から転落して死亡し、恒一自身も「いないもの」として扱われるようになる。26年前に起こった悲劇を発端とする「呪い」が、3年3組に恐ろしい災厄をもたらしていた。
作品の見どころ 学校という誰もが経験する身近な舞台で繰り広げられる超自然的恐怖と、綾辻行人らしい精巧に練られた本格ミステリの要素が見事に融合した傑作です。散りばめられた謎と伏線、そして読者の度肝を抜く大どんでん返しは圧巻。ホラーとしての恐怖だけでなく、「死者は誰なのか」という謎解きも堪能できます。アニメ化・映画化もされ、それまで綾辻作品に触れたことがなかった若い読者の間でもブームとなった、現代学園ホラーの金字塔的作品です。
読者の声 「学園ホラーの最高峰」「ミステリとホラーの完璧な融合」「最後まで犯人が分からない巧妙な構成」
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人間の狂気が生む恐怖
『黒い家』貴志祐介
「最も恐ろしいのは人間の狂気そのもの」
あらすじ 生命保険会社で働く若槻慎二は、顧客から呼び出され子供の首吊り死体の第一発見者となってしまう。顧客の不審な態度から保険金目当ての他殺を疑った若槻は独自調査を開始すると、想像を絶する悪夢が彼を待ち受けていた。調査が深まるにつれ、顧客家族の異常な実態が明らかになり、若槻自身も命の危険にさらされていく。
作品の見どころ 幽霊やモンスターのような超自然的な要素を一切排除し、現実に起こりうる恐怖のみで読者を震撼させる傑作。保険会社という日常的な舞台設定が、かえって恐怖を際立たせます。緻密な心理描写と、段階的にエスカレートしていく恐怖の構成が見事で、最後まで予想のつかない展開が続きます。読み終わった後の「人間への恐怖」は、他のホラー作品では味わえない独特のものです。
読者の声 「貴志祐介さんの作品はかなり怖いしヤバイ」「想像したら頭から離れないような場面ばかり」「幽霊や悪霊なんかよりも、ずっと人間が怖い」「特に終盤のスリルが尋常じゃない」
『天使の囀り』貴志祐介
「天使の囀りが聞こえる」
あらすじ 精神科医の北島早苗の恋人の高梨は、病的な死恐怖症(タナトフォビア)に悩まされていた。しかし新聞社主催のアマゾン調査隊に参加して帰国してからは、人格が異様な変容を見せ始める。死を怖れていた彼が、まるで死に魅せられたかのように快楽的に死を求めるようになってしまい、「天使の囀りが聞こえる」と錯乱状態で大量の睡眠薬とアルコールを飲んで自殺してしまう。さらに調査隊の他のメンバーも、次々と異常きわまりない方法で自殺を遂げていることが判明する。アマゾンの奥地で、いったい何が起きたのか。
作品の見どころ 科学的な知識と緻密な筆力で、恐怖と快感の狭間にある人間の本性を探求した貴志祐介の初期の作品。論理的にどう怖いではなく、生理的な不安を煽ってくる恐ろしさが特徴です。サイエンスティックなホラーとして、リアルな描写、しっかりとした取材が重厚感のある筆致で描かれた本格的なホラーの傑作です。
読者の声 「びっくりするくらい面白かった」「アイディアとストーリーの間を埋めてくる知識量がすごい」「読み始めてると止まらなく、気がつけば物語が終わっていた」
『玩具修理者』小林泰三
「その人は、何でも治してくれる」
あらすじ 喫茶店で男女が会話する中、女性が幼い頃の奇妙な思い出話を語り始める。大人は知らず子供だけが知る玩具修理者という存在が、壊れたおもちゃを何でも直してくれる。人形もラジコンも、死んだ猫さえも一度バラバラに分解して奇妙な叫び声とともに修理してくれる。ある暑い日、彼女は事故で弟を死なせてしまい、親に知られぬよう玩具修理者の元へ向かうが、そこで明かされる驚愕の真実とは。
作品の見どころ 第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した小林泰三のデビュー作です。一見シンプルな構成ながら、クトゥルフ神話を想起させる要素を織り交ぜた独特の世界観が特徴的。短編でありながら読者に強烈なインパクトを与える「悪夢の童話」とも称される傑作で、現実と幻想の境界線を巧妙に描いています。2002年には田中麗奈主演で映画化されるなど、日本ホラー文学史に名を刻む記念すべき作品です。もうひとつ収録されている「酔歩する男」も、頭の中を搔きまわされる傑作。
読者の声 「オチも最高でした」「アイディアの勝利」「あとを引く気持ち悪さが記憶に残る」「怖いというより、めまいに襲われたような感覚」
『ぼっけえ、きょうてえ』岩井志麻子
「ぼっけえ、きょうてえ(すごく怖い)」
あらすじ 明治時代の岡山の遊郭で、醜い女郎が客に自らの身の上話を語り始める。間引き専業の産婆を母に持ち、生まれた時から赤ん坊を殺す手伝いをしていた彼女の人生は、血と汚辱にまみれた地獄道だった。頭の左側に生まれつき付いている人面瘡の「姉ちゃん」に操られ、父親殺しまで犯してしまった彼女の語る話は、聞く者の心を凍らせる。表題作の他に「密告函」「あまぞわい」「依って件の如し」の計4編を収録した短編集。
作品の見どころ 岡山弁による独特の語り口が生み出す臨場感と、戦前の閉鎖的な村社会を舞台にした陰湿な恐怖が読者を戦慄させます。性的な描写や暴力的な場面も含まれており、大人向けの本格的なホラー体験を求める読者にお勧めです。方言の持つ力強さと土着性が、現代では失われがちな「本当の怖さ」を呼び覚まします。
読者の声 「岡山弁の語りが物語を生々しくしている」「戦前の村社会の恐ろしさが伝わってくる」「強烈すぎて忘れられない」「幽霊より人間が怖いと実感する作品」
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現代怪談・都市伝説の新境地
『ぼぎわんが、来る』澤村伊智
「それが来たら、絶対に答えたり、入れたらあかんて」
あらすじ 幸せな新婚生活を営む田原秀樹の会社に、生誕を目前にした娘・知紗の名前を呼ぶ不審な来訪者が現れた。取り次いだ後輩は正体不明の噛み傷を負い、その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届くようになる 。亡き祖父が恐れていた”ぼぎわん”という化け物の仕業なのか。愛する家族を守るため、秀樹は霊媒師・比嘉真琴に助けを求めるが、迫り来る存在は極めて凶暴で知恵を持った恐るべきものだった。
作品の見どころ 三部構成で主人公が違い、一章で事件が起こり、二章で謎が深まり、三章で解決という巧妙な構成 が最大の魅力です。思いやりややさしさが、視点を変えるとおぞましいまでの傲慢さや悪意に変わってしまう「ゆがみ」こそがこの作品の真の恐怖の源泉。怪談・都市伝説・民俗学などさまざまな要素を孕んだノンストップ・ホラーとして、単なる怪談を超えた現代的な恐怖を描き出しています。
読者の声 「自分にも迫ってくるような怖さがある」「途中で視点が変わると、最初の印象がガラッと変わる魅せ方がすごい」「読み終えた後も心に残る、不思議な余韻を感じさせる作品」
『予言の島』澤村伊智
「わたしは死ぬよ。言葉で。呪いで」
あらすじ 霊能者として名を馳せた宇津木幽子が命を落とした瀬戸内海の小島。彼女が残した不吉な言葉「二十年後、六つの魂が冥界へと引きずり込まれる」が現実となる時が迫る。大学生の天宮淳は、旧友たちとの軽い気持ちでこの謎めいた島を訪問する。だが宿泊先で起きた惨劇により、一行は予想だにしない恐怖の渦に巻き込まれていく。
作品の見どころ 著者が得意とするホラーの技法を駆使しながら、本格的な謎解き要素を巧みに織り込んだ野心作です。初読では論理的な推理小説として楽しめますが、真相が明らかになった後に再読すると、まったく別の側面が浮かび上がる仕掛けが施されています。島の閉塞感と超自然的な要素が生み出す独特の緊張感が、最後まで読者を離しません。
読者の声 「謎が解けた瞬間、背筋が凍った」「二度目を読むのが怖くて仕方ない」「文章の違和感の正体がわかった時の衝撃は忘れられない」
『5分怪談』ナナフシギ
「たった5分で味わえる、凝縮された恐怖」
あらすじ 小学5年生の春休み、お父さんにおつかいを頼まれてコンビニに向かう途中、主人公は幽霊の女の子「レイちゃん」につかまってしまう。連れてこられた先はなんと”霊界”で、レイちゃんに「遊ぼうよ」と誘われ、おばけの学校、病院、神社、ホテルなど背筋が凍るような恐怖の場所を巡る霊界ツアーが始まる。レイちゃんはなぜ主人公の名前を知っているのか、なぜ霊界に連れてきたのか。謎に満ちた恐怖の旅路が展開される。
作品の見どころ SNS総フォロワー50万人超の大人気怪談系YouTuber【ナナフシギ】がおくる、実話をもとにした24編の怪談集です。各話が5分で読み切れる構成になっており、忙しい現代人のスキマ時間にぴったり。児童書としてやわらかい表現が使われているので、怪談初心者から上級者まで幅広く楽しめる内容となっています。朝読書にも最適で、短時間でも確実にゾクッとする恐怖体験が味わえる新しいタイプのホラー作品です。
読者の声 「読みやすく、子供さんにも受け入れられやすい内容です」「怪談に興味を持つきっかけになる」、「児童書なので表現もやわらかく、サクサク読めます」「スキマ時間にサッと1話読めてゾクッとできる」
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SF・異世界ホラーの恐怖
『クリムゾンの迷宮』貴志祐介
「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」
あらすじ 失業中の藤木芳彦は、見覚えのない深紅色に染まった奇岩の世界で目覚める。傍らに置かれた携帯ゲーム機に「火星の迷宮へようこそ」のメッセージが表示され、9人の参加者による命をかけたゼロサム・ゲームが始まった。食糧、武器、情報を巡って参加者たちが争う中、藤木は謎めいた女性・藍とタッグを組んで生き残りを図る。しかし、このゲームには恐るべき仕掛けが隠されていた。
作品の見どころ『黒い家』で知られる貴志祐介が手がけたSFホラーの傑作です。火星を思わせる異世界でのサバイバル・ゲームという設定でありながら、人間の心理と恐怖を巧みに描き出しています。ページをめくる手が止まらない緊迫感と、最後まで予想のつかない展開が読者を魅了します。ゲームブック的な要素も盛り込まれ、新しいタイプのホラー体験を提供する野心作です。
読者の声「ページをめくる手が止まらない状態でした」「ドキドキワクワクでサクサク読める傑作」「心理戦の迫力や表現のリアルさに引き込まれる」
『夜市』恒川光太郎
「何か取引をしない限り、夜市から帰ることはできない」
あらすじ 大学生のいずみが高校時代の同級生・裕司に誘われて訪れた「夜市」は、妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場だった。小学生の時に夜市で弟と引き換えに「野球の才能」を買った裕司は、罪悪感に苛まれながら生きてきた。そして今夜、弟を買い戻すために再び夜市を訪れるが、そこには悲しい真実が待ち受けていた。
作品の見どころ 第12回日本ホラー小説大賞受賞作でありながら、恐怖よりも美しさと切なさが印象に残る独特の世界観が魅力です。宮沢賢治を思わせる幻想的な文章と、ジブリ映画のような美しい情景描写で読者を異界へといざないます。兄弟愛をテーマとした深い人間ドラマと、妖怪たちが織りなす摩訶不思議な市場の描写が見事に調和し、最後まで予想のつかない展開に引き込まれます。
読者の声 「美しい文章に引き込まれる」「夢の中にいるような不思議な感覚」「単なるホラー小説と思いきや、結末には胸がじんわりと温かく滲んでいった」
『魔性の子』小野不由美
「どこにも、僕のいる場所はない」
あらすじ 教育実習のため母校に戻った大学生・広瀬は、クラスで孤立する高校生・高里に注目する。高里は小学生の時に神隠しに遭った経験を持っている。彼をいじめた者が次々と不慮の事故に見舞われるため「高里は祟る」と恐れられていた。周囲に馴染めず違和感を抱き続ける高里の姿に、過去の自分を重ねる広瀬。しかし、高里を庇おうとする中で更なる惨劇が起こり、やがて異世界との恐ろしい関わりが明らかになっていく。
作品の見どころ 本作は十二国記シリーズの中でも異色の作品で、学園ホラー・パニック小説としての側面が強く、著者の代表作『屍鬼』に通じる秀逸な展開が楽しめます。現実世界に所属しながら自らの居場所に違和感を持つ者と、本質的に現実世界と相容れない存在との心理的交わりと葛藤が丁寧に描かれ、「故国喪失者」としての孤独感と、「ここではないどこか」への憧れという普遍的なテーマが胸に響きます。
読者の声 「世界観とその描写力に圧倒される」「後の刊で理解が深まったときの驚き」「ホラー系ミステリーでなかなか読ませる作品」「この本が気に入ったら、十二国記全巻を読み通したくなる」といった感想が多数寄せられています。
『ずっとお城で暮らしてる』シャーリィ・ジャクスン
「みんな死んじゃえばいいのに。そしてあたしが死体の上を歩いているならすてきなのに」
あらすじ 家族毒殺事件の生き残りである18歳のメアリ・キャサリン・ブラックウッドは、姉のコンスタンスと伯父ジュリアンと共に広い屋敷で暮らしている。村人たちからの冷たい視線と悪意に晒されながらも、空想に彩られた閉ざされた世界で幸せな日々を過ごしていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに、美しく病んだ彼女たちの世界に大きな変化が訪れる。
作品の見どころ 「魔女」と呼ばれたシャーリイ・ジャクスンが超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作です。ほのぼのとしたタッチで始まりながら、次第に人々の悪意や狂気が露わになっていく構成が秀逸。村人たちの集団心理による悪意と、メリキャットの美しくも恐ろしい内面世界が交錯し、読者は自分自身の心に潜む闇と向き合うことになります。世界は悪意に満ちているのに美しく、人間は醜いのに少女たちはあくまでも無垢という二律背反を見事に描き切った、アメリカホラー文学の古典です。
読者の声 「古典的なホラーの魅力が詰まっている」「恐ろしいけどわかる気もする自分が恐ろしかった」「中毒性がある、美しく病んだ幻想的な世界」
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江戸・時代怪談の情緒
『おそろし 三島屋変調百物語事始』宮部みゆき
「怖い話を、お聞かせください」
あらすじ 17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに心を閉ざし、江戸で袋物屋を営む叔父夫婦のもとに身を寄せていた。ある日、叔父に頼まれて客の応対をすることになったおちかは、その客が語る不思議な話に引き込まれていく。様々な人の語る怪異と悲しみの物語を聞くうちに、おちかの閉ざされた心も少しずつ溶かされていく。
作品の見どころ 宮部みゆきが「ライフワーク」と語るシリーズの記念すべき第一作。従来の怪談とは一線を画し、恐怖よりも人間の情愛や哀しみに焦点を当てた独特の作品となっています。「曼珠沙華」「凶宅」「邪恋」「魔鏡」「家鳴り」の5編が収録されており、それぞれが単なる怖い話ではなく、人の心の奥底にある感情を丁寧に描いています。江戸の風情豊かな描写と、傷ついた心を持つ人々の成長物語が見事に融合した、新感覚の時代小説です。
読者の声 「怖いけれど心温まる不思議な読後感」「江戸の人情と怪談の絶妙な融合」「宮部みゆきならではの人間描写が秀逸」「おそろしいというより切なくて、涙が出てきた」
『怪談青柳屋敷』青柳碧人
「現実と非現実の境界線が曖昧になる49の物語」
あらすじ 深夜に帰宅した時の奇妙な体験、心霊スポットで少年たちを襲った異変、夜毎バーに現れる謎の少女など、自ら体験した怪異や人から聞いた不可思議な話49篇を収録。家にまつわる怪談から出版業界での恐怖体験まで、日常に潜む非日常的な出来事を丁寧に記録した現代の怪談集。
作品の見どころ ミステリ作家・青柳碧人氏が、学生時代から密かに蒐集してきた実話怪談を一挙公開。怪談研究家・吉田悠軌氏が「青柳さんの書く怪談は律儀で新鮮」と評価するように、ミステリ作家ならではの観察眼と文章力で綴られた実話怪談集です。「怪談に馴染みがない人でも楽しめる物語を」という著者の想い通り、震え上がるほどの恐怖というより、どこか身近で親しみやすい不気味さが魅力。まるで友人から聞く怪談のような等身大の恐怖体験が、49の短篇として丁寧に収録されています。
読者の声 「定番系から怪奇珍妙な話まで取り揃えたお化け屋敷のよう」「怖いのが苦手な方にも薦めてみたい」「日常のすぐ裏にある非日常を感じられる、新感覚の実話怪談集」
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学園・青春ホラーの世界
『ホーンテッド・キャンパス』櫛木理宇
「幽霊なんて見たくもないのに」
あらすじ 幽霊が見えてしまう体質の大学生・八神森司は、高校時代の後輩で片想いの相手である灘こよみと親しくなるため、雪越大学オカルト研究会に入部する。ところがオカ研には次々と怪奇現象の相談が持ち込まれ、森司は嫌々ながらも先輩たちと共に謎解きに挑むことに。「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが引っ越しても追ってくる」といった不可解な現象を解決していく中で、こよみとの距離も徐々に縮まっていく。
作品の見どころ ホラー小説でありながら恋愛要素が巧みに織り込まれ、怖さと甘酸っぱさが同居する独特の読み心地が魅力です。主人公の森司とこよみの奥手すぎる恋模様は、ホラーが苦手な読者も安心して楽しめます。2012年に第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞し、2022年8月時点でシリーズ累計発行部数は150万部を突破した大人気シリーズの記念すべき第一作です。
読者の声 「登場人物のキャラが全員立っていて面白い」「怖いけれど青春の輝きも感じる」「甘酸っぱいというよりはなんだかもどかしい青春とほんのり香るホラー」
『ゴーストハント1 旧校舎怪談』小野不由美
「幽霊は存在しない。存在するのは人間の無知と偏見だけだ」
あらすじ 女子高生の谷山麻衣が通う学校の旧校舎には、「解体しようとすると事故や病気が起こる」という不気味な噂がつきまとっていた。ついに取り壊しを決断した学校は、渋谷一也率いる「渋谷サイキックリサーチ」をはじめとする霊能者たちに調査を依頼する。偶然にも調査機材を壊してしまった麻衣は、助手として調査に参加することに。巫女や僧侶、エクソシストなど個性豊かな専門家たちが集まる中、調査員の一人が旧校舎から転落する事故が発生し、事態は予想外の方向へと発展していく。
作品の見どころ 学園ホラーの枠を超えた本格ミステリとしての完成度の高さが最大の魅力です。オカルト的な内容と思いきや、科学的な内容が多く、恐怖と論理的推理が見事に融合しています。個性的すぎる霊能者たちのキャラクター造形も秀逸で、シリアスな場面でもクスリと笑えるやりとりが恐怖を和らげ、読みやすさを演出。アニメ化・漫画化もされた人気シリーズの記念すべき第1作として、30年以上愛され続ける理由が詰まった傑作です。
読者の声 「学園怪談と科学調査の絶妙な組み合わせ」「論理的なアプローチが新鮮」「怖いけど、論破してくれる安心感が魅力」
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医療・専門職ホラーの恐怖
『ヨモツイクサ』知念実希人
「その森には『何か』がいる。人ではない。ヒグマでもない」
あらすじ 北海道旭川にある「黄泉の森」という禁域で、リゾート開発の作業員6人が忽然と姿を消した。現場には何かに蹂躙された痕跡だけが残され、警察はヒグマの仕業と断定するが、その殺戮は人智を超えていた。道央大病院の外科医・佐原茜は、この事件と7年前に自分の家族が行方不明になった神隠し事件との関連を疑う。アイヌの人々が古来より「ヨモツイクサ」の住処として恐れてきたこの森には、なにかがいる。
作品の見どころ 現役医師である知念実希人が、バイオ・ホラーという新ジャンルに挑戦した意欲作です。アイヌ民話と古事記の要素を巧みに織り込みながら、生物学的な専門知識に裏打ちされたリアルな恐怖を演出しています。単なるモンスターパニック小説ではなく、ミステリー要素も巧妙に配置された構成で、最後まで予想がつかない展開が読者を魅了します。
読者の声 「古事記やアイヌ民話が絡み合う内容に引き込まれる」「生物学を取り入れた説明には、創作と分かりながらもゾッとする」「専門知識と恐怖の絶妙な融合」
『鬼の蔵 よろず建物因縁帳』内藤了
「この建物には、因縁がある」
あらすじ 高沢春菜は下見で訪れた旧家の蔵で、血液で「鬼」と大書された土戸を発見する。調査の過程で一族で頻発した不審死の数々が明らかになる。春菜にも災厄が迫り始める中、「因縁切り」を専門とする曳き家・仙龍に「鬼の蔵」の調査を依頼する。200年前から続く蒼具家の血塗られた歴史と、オクラサマと呼ばれる祟り神の正体が徐々に明らかになっていく。
作品の見どころ 建築という専門分野をテーマにした珍しいタイプのホラー作品です。曳き家師(ひきやし)という珍しい職業設定と、建物の構造や歴史に潜む恐怖を組み合わせることで、従来のホラーとは一線を画した新鮮な恐怖体験を提供します。恐怖だけでなく、春菜と仙龍のコンビの掛け合いが魅力的で、シリーズを通して読み続けたくなる作品です。
読者の声 「ホラーだけど建築に関する蘊蓄が為になった」「専門知識に基づく説得力がある」「ストーリーとキャラクターを重視したホラー小説として非常におすすめ」
『営繕かるかや怪異譚』小野不由美
「古い家には障りがある」
あらすじ 叔母から受け継いだ町屋に住む祥子の家では、奥座敷の襖が何度閉めても開いてしまう。古い武家屋敷では「屋根裏に誰かいる」と母親が訴える。そして雨の日、鈴の音とともに袋小路に現れる黒い和服の女。住居にまつわる様々な怪異に悩む人々のもとに現れるのは、営繕屋「かるかや」の青年・尾端だった。怪異を力ずくで退治するのではなく、建物の「疵」を丁寧に見極め、時には直し、時には手当てして残す。家に宿った想いと向き合い、静かに解決へと導いていく。
作品の見どころ 小野不由美ならではの緻密で美しい文章が生み出す、手触りや匂いまで感じられるほどリアルさが魅力。営繕屋・尾端の誠実で優しい人柄を通して、怪異との共存という新しいアプローチが描かれています。退魔や除霊ではなく、怪異の背景にある想いを理解し、建物と住人、そして怪異の三者が平穏に共存できる道を探る物語は、読後に確かな救いと温かさを感じさせてくれます。
読者の声 「手触りや匂いすら感じられる」「小野不由美の構成力が光る」「ホラーとして一級品でありながら、『読んで良かった』と素直に思える」
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実話・体験談系の恐怖
『なまなりさん』中山市朗
「あれは触れてはいけないものだ。だから、あなたも知らないほうがいい」
あらすじ 沖縄で退魔師の修行を積んだプロデューサー・伊東礼二のもとに、同僚のカメラマン健治から深刻な相談が持ち込まれる。健治の婚約者・沙代子が、妖艶な双子姉妹・鈴江と香奈江による執拗ないじめを受けているというのだ。沙代子への嫌がらせは日に日にエスカレートし、ついに彼女を自死へと追い込む。しかし沙代子の死後、双子姉妹の周囲で奇妙な現象が続発し始め、やがてその災禍は姉妹の実家にまで及んでいく。
作品の見どころ 実話をベースにした中山市朗による怪異実聞録で、体験者本人によって二日間にわたり語られた生々しい体験記です。「なまなり」とは、怨霊・生霊・般若になる前の状態を表す怨霊の面のことで、タイトルが示すように、人間の怨念が形を成していく恐ろしさが描かれています。作り物の怪談とは一線を画す実話の持つリアリティと、家系に纏わる因縁の深さが、読者に真の恐怖を与える傑作実話怪談です。
読者の声 「怖い!怖すぎる」「関西弁の語りが親しみやすくて怖い」「実話だと思うとより恐ろしい」「人間も恐ろしいし怨念も凄まじい」
『忌み地 怪談社奇聞録』福澤徹三
「その土地には、近づいてはいけない」
あらすじ 怪談社の糸柳寿昭と上間月貴が全国各地の忌み地や事故物件を現地取材し、そこで収集した実話を作家・福澤徹三が書き起こした実録怪談集。取材者たちは事故物件が集中する地域で恐るべき怪異の連鎖に遭遇し、土地に宿る因縁や歴史的背景に隠された真相に迫っていく。現地での取材プロセスや住民たちの証言を丁寧に記録し、実話ならではの重厚な恐怖を描き出す。
作品の見どころ 実在する場所を舞台にしているからこその説得力と重厚感が最大の魅力です。単なる怪談話ではなく、土地の歴史や因縁を丁寧に調べ上げ、現代に起こる怪異現象との関連性を探る手法により、読者に「もしかしたら本当にあるかもしれない」という戦慄を与えます。「女の子の怪談」「不思議な迷子」「アヨノサト」など印象的な話が収録されており、現地取材による生々しい描写が、実話怪談ならではのリアリティを生み出しています。
読者の声 「実在する場所だと思うとゾッとする」「土地の歴史と怪異の関係が興味深い」「実話怪談の重厚さがある」
『撮ってはいけない家』矢樹純
「この家は決して撮ってはいけない家だったのだ」
あらすじ 映像制作会社でディレクターとして働く杉田佑季は、上司からモキュメンタリーホラーの企画を任される。撮影地は、山梨にある旧家。そこは上司の再婚相手の実家で、「男子が十二歳で早世する」という不気味な言い伝えがある家だった。怪談好きの同僚・阿南とともにロケハンを進める中、フィクションの企画と現実の出来事が奇妙に重なり始める。そして撮影現場で実際に子どもの失踪事件が発生し、関係者たちは戦慄の真実と向き合うことになる。
作品の見どころ 単なる怖い話ではなく、起こる不可思議な出来事すべてに理由がある「論理的恐怖」が最大の魅力。散りばめられた伏線が最後に見事に回収される構成は、ホラー好きにもミステリー好きにも満足のいく仕上がりです。現実と虚構の境界が曖昧になるモキュメンタリー形式により、読者の想像力を掻き立てる作品となっています。
読者の声 「続きが気になってページをめくる手が止まらなかった」「点と点が繋がっていくラストにぞくぞくした」「怪談を信じていない人が信じざるを得ない状況が怖い」
『近畿地方のある場所について』背筋
「その場所の名前を、ここに書くことはできない」
あらすじ オカルト雑誌編集者の小沢が突然失踪する。彼が最後に取材していたのは、近畿地方の「ある場所」にまつわる怪談だった。友人である「私」は小沢の残した資料を整理するうち、過去の雑誌記事、読者からの手紙、ネット掲示板の書き込みなど、様々な媒体に散らばっていた怪異の報告が、すべて同じ地域に集中していることに気づく。一見無関係に見えた事件や体験談が徐々に繋がり始め、その場所に隠された恐ろしい真実が明らかになっていく。
作品の見どころ 雑誌記事、ネット書き込み、インタビュー音声など多様な「資料」で構成されるモキュメンタリー形式が秀逸です。読者は探偵のように散らばった情報を繋ぎ合わせながら、真相に迫る構成になっています 。作者自身が「細部の描写に漂う現実味がリアルな怖さにつながる」と語る通り、日常に潜む不穏さの表現が見事です。地名を明かさない手法により、読者それぞれが思い浮かべる「身近な場所」への恐怖を巧みに演出している点も魅力的です。
読者の声 「徐々に繋がっていく過程にドキドキが止まらなかった」「部屋の隅っこが怖い。流し台の鏡が怖い」「読んでいるあいだ中、不穏さがつきまといます」
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まとめ:怖さ別の作品選びガイド
とにかく怖い作品から、感動やなぞ解きを重視した作品など、ホラーと言ってもその内容は様々です。自分の耐性に合わせて作品を選ぶことで、より楽しい体験ができるでしょう。
ホラーが苦手な方・初心者におすすめ
- 『おそろし』(宮部みゆき): 恐怖よりも人情に重点を置いた優しい怪談。読後感が温かく、ホラー入門に最適
- 『夜市』(恒川光太郎): 美しく幻想的な世界観で、怖さよりも切なさが印象に残る作品
- 『ゴーストハント』(小野不由美): 科学的なアプローチで怪異を解明していくため、論理的で安心して聴ける
- 『5分怪談』(ナナフシギ): 子ども向けの、短時間で気軽に楽しめる軽めの怪談集
- 『魔性の子』(小野不由美): 学園ホラーでありながら、ファンタジー要素が強く恐怖は控えめ
ホラー愛好家・上級者におすすめ
- 『黒い家』(貴志祐介): 人間の狂気を描いた極上のサイコホラー。生々しい恐怖体験を求める方に
- 『ぼっけえ、きょうてえ』(岩井志麻子): 過激で生々しい描写を含む本格ホラー。覚悟を決めて聴くべき作品
- 『なまなりさん』(中山市朗): 実話をベースにした重厚な恐怖。因縁と怨念の深さが味わえる
- 『玩具修理者』(小林泰三): 現実と妄想の境界を描いた、精神的に追い詰められる恐怖体験
- 『忌み地』(福澤徹三): 土地に宿る因縁と歴史的背景に隠された真相を描く、重層的な恐怖
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ホラー小説を堪能するための聞き方のテクニック
オーディオブックでホラーを聴く際は、聞き方一つで恐怖体験が大きく変わります。自分の好みや耐性に合わせて環境を調整することで、より快適に、またはよりスリリングに楽しむことができます。
恐怖を和らげたい方向けのテクニック
- 朝や昼などの明るい時間帯に聴きましょう
- 通勤電車や公園など、人の居る空間で聴きましょう
- 部屋で聴くときはなるべく明るくし、暗がりを作らないようにしましょう
- 音量は控えめに設定し、イコライザーで低音を下げましょう
- 再生速度を上げて聴き、想像を膨らませる前にサクサク進めましょう
- 怖さを感じたら遠慮なく一時停止しましょう
恐怖を高めたい方向けのテクニック
- 夜の一人きりになれる時間を選びましょう
- 部屋は真っ暗か薄暗くし、ろうそくやキャンドルライトでより雰囲気を演出しましょう
- スマートフォンの画面を見ず、完全に音の世界に身を委ねましょう
- 音量はやや大きめに設定し、低音を強調してより重厚で不気味な雰囲気を演出しましょう
- 再生速度を変えずにじっくりと聴きましょう
- できるだけ一気に聴き通し、恐怖の余韻を積み重ねていきましょう
今夜から、あなたもAudibleで未知の恐怖体験を始めてみませんか。魅力的で恐ろしい世界が、あなたを待っています。ただし、眠れなくなっても責任は負いかねます。

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。


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